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2006.07.01

グループSNE公式
でもんぱ製作日記
デモンパラサイト リプレイ 悪魔憑きの目覚め


1000円という価格、食事による回復、脱げる服など話題沸騰の
SNEのTRPGシステム『デモンパラサイト』通称 デモンパ (または デモパラ)のレビュー。



●ゲーム概要
  ■デモンパラサイトってどんなゲーム?
  ■PCはどんな人?なにをするの?

●システム解説
  ■キャラクターメイキング
  ■共生生物と悪魔化もしくは「ぬぐー」
  ■能力値と技能、判定方法
  ■戦闘ルール
  ■リサーチ
  ■『衝動』と「暴走」
  ■食事などによる回復
  ■資金
  ■魔種吸引
  ■レベルアップ

●その他
  ■サンプルデータ、チャートなど

●おわりに
  ■雑感&ぶっちゃけお勧めですか?


■ デモンパラサイトってどんなゲーム?

 ジャンルは「変身ダークヒーローTRPG」。 現代日本を舞台に、"悪魔寄生体(デモンパラサイト)"と呼ばれる寄生生物をその身に宿した超人"悪魔憑き(ディアボロス)"たちが、 異形の姿に変身し、悪魔寄生体が引き起こす様々な事件を解決する・・・、そんな物語を紡いでいくTRPGシステムです。

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■ プレイヤーキャラクターはどんな人?なにをするの?

 舞台は現代日本。プレイヤーキャラクター(以下、PC)は「共生」を行う悪魔寄生体<マイト>に「感染」した"悪魔憑き(ディアボロス)"です。 PCはNGO(ボランティア団体)「セラフィム」の一員となり、邪悪な寄生生物<ヴィシャス>に寄生され、衝動を抑えられなくなった"悪魔憑き"の 引き起こす事件を解決し、寄生された被害者を<ヴィシャス>から開放します。

 PCには人間以外にも、なんと動物(犬か猫)を選択することが可能です(共生生物により会話能力を持たせることができます)。

 またPCは、共生生物の種類によりその能力が決まります。共生生物によっては人間、あるいは動物にしか選択できないものもいます。 共生生物は8種類の中から1つを選択できます。

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■ キャラクターメイキング

 キャラクターは8つのサンプルキャラクターを使用する以外にも、自分で作成することができます。 作成方法は非常に簡単になっており、(長時間悩まない限り)それほど時間は取らないでしょう。

 キャラクター作成は、大まかに以下5つのプロセスで進行します。
1.能力値の決定
六面体ダイス2個(以下2d6)を振り、出目を3で割った値(端数切捨て)が能力値です。このとき、2d6の結果が5以下だった数だけ、衝動ゲージ(後述)が増加します。
2.人間か、動物かの選択
人間か動物かを選択します。選択できる共生生物の種類や選べる職業に影響します。
3.共生生物の種類の決定
8種類の共生生物の中から一つを選択します。 共生生物ごとに能力値や戦闘データへの修正値、取得している特殊能力が自動的に決まります。
4.職業の決定
人間ならば学生(通常・優等生・不良の3種類)や探偵、家政婦(夫)など14種類から1つを選択。動物ならば「野良」か「ペット」を 選択した上でサイズ(犬は大型〜小型、猫は中型か小型)を選択します。選択した職業に応じて情報源や技能、 所持品や所持金、経済力などが決定します。
5.パーソナリティの決定
生まれや人生経験、共生生物に寄生された理由、戦う理由や肉体の特徴などを決定します。サイコロでランダムに選ぶほか、 任意に決めることもできます。


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■ 共生生物と 脱衣 悪魔化

 PCは、共生生物の力を借りて"悪魔化(デモニックフォーム)"し、超人的な能力を発揮することができますが、 悪魔化すると衣服を大なり小なり損傷してしまいます。

 また、悪魔化しているかどうかに関わらず、悪魔の力を用いた特殊能力を使用することができる他、 条件を満たせば必殺技にあたる「最終能力」を使用できます。

 共生生物ごとの主な特徴と変身後の姿、衣服への損傷は以下の通りです。

“炎の魔神”クレイモア (人間専用)
  主な特徴  :熱や炎を操り、白兵戦闘を得意とする。ファンタジーでいう所の「勇者」。
  変身後の姿:硬化した皮膚や突起物を生やした、悪魔的な姿。
  衣服の損傷:着ているものは全損する。

“無双の獣人”ヴォージュ (人間専用)
  主な特徴  :攻撃力が高く、白兵戦闘に特化している。ファンタジーでいう所の「戦士」や「モンク」。
  変身後の姿:巨体の狼男のような獣人の姿。
  衣服の損傷:着ているものは全損する。

“氷壁の騎士“ブリガンダイン (人間専用)
  主な特徴  :冷気や水を操り、防御能力に秀でている。ファンタジーでいう所の「騎士」。
  変身後の姿:騎士の甲冑や甲殻類を思わせる外骨格を纏った姿。
  衣服の損傷:着ているものが濡れてしまう。

“神速の暗殺者“ファランクス (人間専用)
  主な特徴  :風を操り、スピードに優れ、また精密作業を得意とする。ファンタジーでいう所の「盗賊」+「忍者」。
  変身後の姿:四肢の一部などを武器のように変質させた、人間としての外見を残した姿。
  衣服の損傷:袖口が破れる程度。

“魔獣の幻術師“ショーテル (動物専用)
  主な特徴  :幻覚を操り、また感覚機能を鋭敏にすることができ、また動物でありながら会話能力や知性を持つことができる。ファンタジーでいう所の「盗賊」+「幻術師」。
  変身後の姿:人間の姿になる。変身に伴い、服も作り出される。

“稲妻の魔術師“カラドボルグ
  主な特徴  :電撃を操り、様々な能力を持つほか、遠距離攻撃を得意とする。ファンタジーでいう所の「魔術師」。
  変身後の姿:体の節々に水晶体や複眼を持つ、軽装の外骨格を纏った姿。
  衣服の損傷:袖口が破ける程度。

“輝く天使“モリオン
  主な特徴  :光を操り、負傷や毒などを癒す能力を持つ。ファンタジーでいう所の「僧侶」。
  変身後の姿:輝く翼を持ち流麗な外骨格を纏う、悪魔というよりは天使のような姿。
  衣服の損傷:袖口が破れる程度。

“悪魔の人形使い“ウォーコイト
  主な特徴  :磁力や他人を操り、感情や記憶を操作する特殊能力を持つ。ファンタジーでいう所の「ネクロマンサー」「人形使い」。
  変身後の姿:細身の、昆虫のようなやや禍々しい姿。
  衣服の損傷:袖口が破れる程度。



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■ 能力値と技能、判定方法

 能力値は肉体、機敏、感覚、幸運、知力、精神の6種類あり、0〜4の幅で決定されます。 また、変身すると能力値が0〜5点上昇します。上昇する能力値は共生生物により異なります。

 技能は初級〜上級の3段階あり、技能を使用できる場合は初級で5、中級で10、 上級で15の数値を、能力値の代わりに使用できます。

 判定は、六面体ダイスを複数(通常は2つ、変身中は3d6、場合によりそれ以上)振った出目に能力値 (または技能に応じた数値)を加えたものを達成値とします。
 このとき、ダイスのうち2つ以上が6ならば"効果的成功(クリティカル:必ず成功)"、 2つ以上が1ならば"致命的失敗(ファンブル:必ず失敗)"になります。 効果的成功と致命的失敗が同時に発生した場合、致命的失敗が優先されます。 戦闘時におけるそれぞれの効果は後述します。


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■ 戦闘ルール

 戦闘は1ターン(10秒)の単位で行われます。
 戦闘の手順は、「行動値(能力値などにより決定)が高い順に手番を得る」 「手番が来たら[通常]行動と[攻撃]行動を1回ずつ行う」というシンプルなもので、攻撃に対する回避行動などは 無制限に行えます。
 [通常]行動は他人に影響を与えない動作、[攻撃]行動は敵などに対して影響や効果を及ぼす動作と定義されています。 FEAR社のゲームに代表される「マイナーアクション」「メジャーアクション」に相当する、といえばわかりやすいでしょう。

 特筆すべきは、[通常]行動で電柱などを「引っこ抜き」または車などを「持ち上げ」、 [攻撃]行動で殴りつけたり、投げ飛ばしたりできるという点。
 この攻撃方法が本ゲーム中、最強の威力を誇っています。「持ち上げ」などが失敗したり、二次的な被害を引き起こす可能性もありますが、 なかなかに派手で魅力的な攻撃方法です。

 なお、攻撃時に効果的成功が発生した場合、ダメージのダイスがすべて6だったとして扱います(最大ダメージダイスは5D6)。 また、回避時に致命的失敗を起こすと防御力が0としてダメージを受けてしまいます。


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■ リサーチ

 リサーチは、判定一発でごっそり情報をもぎ取るタイプではなく、 非常にオーソドックスな「技能(能力値)を用いた行動宣言と判定による情報収集」が基本です。
 PCは自ら現場へ出向き、知覚系の能力や交渉判定、会話などを駆使して 情報を集め、事件を解決していくことになります。

 また、PCは職業ごとに「情報源」(自分と関わりのある環境や団体、人物)を持っており、そこから様々な(GMの決定する)情報を 得ることが可能です。
 例えば、特定の事件の非公開情報などは「警察」や「情報屋」から、 「失踪した芸能人」の噂の真相は芸能人の持つ「業界」から入手することができるかもしれません。



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■ 『衝動』と「暴走」

 PCは「衝動ゲージ」と呼ばれる、15点(+α)のゲージを持っています。 この衝動ゲージを埋める(『衝動』を蓄積させる)ことにより、PCは幾つかの特殊な効果を起こすことができます。

1.悪魔化
 PCは自らが望む他、生命の危機に陥ると"悪魔化"し、異形の姿に変身することができます。 このとき、『衝動』が1点蓄積します。変身時間は『衝動』1点ごとに10分(ショーテルのみ1時間)です。
 "悪魔化"していると、判定が2d6から3d6になるほか、能力値や戦闘能力が上昇し、また素手が武器同様に扱われるようになります。
2.特殊能力の使用
 共生生物の持つ特殊な能力の中には、『衝動』を蓄積させなければ使用できないものもあります。 なお、特殊能力は変身の有無に関わらず使用可能です。
3.判定の振りなおし
 判定の結果が悪かった場合、『衝動』を1点蓄積させることにより、判定を振りなおすことができます。 このとき、判定に使うサイコロが1個増えます。
 この振りなおしは3回まで行うことができ、振りなおす度にサイコロが1個、『衝動』が1点、累積して増えていきます。
4.効果値の振りなおし
ダメージや回復などの効果値も、『衝動』1点で振りなおすことができます。判定と違い、振りなおしは1回のみで、 サイコロも増えません。
 非常に便利な『衝動』ですが、やはり副作用が存在します。衝動ゲージに指定された、5つある「段階」まで衝動を 蓄積してしまうと、その段階に応じた「衝動表」での判定結果を適用されてしまいます。 衝動表の中には利点になるものも存在しますが、大半がペナルティで、「段階」が進めば進むほど ペナルティも厳しくなります(奇行に走ったり、ダメージを受けるほか、仲間に被害を及ぼしてしまうものもあります)。
 このとき、衝動表の結果次第では経験値を10〜30点獲得します。

 また、衝動ゲージが振り切ってしまうと、PCは「暴走(オーバーロード)」を起こします。 暴走すると、10分(60ラウンド)の間だけ判定のサイコロが1個増え、エナジー(耐久力)が増加し、さらに『衝動』無しに特殊能力を使用できる 等の様々な特典を得ることができますが、代償として「自我」を1点失います。
 「自我」を3点失うか同じシナリオで2回暴走すると、PCは<ヴィシャス>となり、NPCになってしまいます。
 「自我」は、そのシナリオ中1度も暴走しなければ、セッションの最後に1点回復できます。
 なお、暴走時は前述の「最終能力」(必殺技のようなもの)が使用できなくなる他、 衝動による振りなおしも利かなくなる為、必ずしも暴走すれば良い、という訳ではありません。


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■ 食事などによる回復

 共生生物は、宿主(PC)から養分を摂取することで、治癒能力を飛躍的に高めることができます。
 平たく言えば食事を取ることで、『衝動』とエナジー(耐久力)が回復します。食事にかけた金額が 「500円」「2000円」「4000円」「8000円」(以降、倍ごとに増加)と増えるごとに より大きな回復効果が見込まれます。
 なお、具体的に何を食べているのかについては一切触れられていませんが、高いものといえば焼肉というのが通説のようです。
 ・・・ちなみに、食事はお弁当として持ち歩くことも可能です。

 また、睡眠を取ることで『衝動』とエナジーを、幾つかの特殊能力を使うことでエナジーを回復させることもできます。


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■ 資金

 本ゲームでは、PCの所持金は基本的に数千円、最大でも6万円程度です。 これは主に破損する衣服を購入したり、回復のための食事の費用にあてられます。
 また、PCは所属するNGOセラフィムからの資金援助を受けることもあります(が、 金額的には微々たるものです)。

 所持金以外に、PCは職業に応じた「経済力」を持っていますが、これはあくまで イメージ(フレーバーテキスト)として扱われ、データとしてのお金にはなりません。


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■ 魔種吸引

 PCを含む"悪魔憑き"は、「魔種吸引」を行うことで、戦闘不能になった他の"悪魔憑き"から "悪魔寄生体"<ヴィシャス>を排除することができます。こうやって取り出された悪魔寄生体は 「魔結晶」となり、PCに吸収されます(データ的には経験値や使いきりの特殊能力として扱われます)。

 「魔種吸引」された"悪魔憑き"は、寄生されていた期間が長ければ何らかの後遺症を受ける場合があります。 後遺症の中には視覚や記憶などを失ったり、病弱になってしまうこともありますが、これらは長期のリハビリで 回復する可能性もあります。


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■ レベルアップ

 PCは経験値を消費することで、共生生物の成長の他、技能や能力値、衝動ゲージを上昇させることができます。

 共生生物を成長させるとレベルが上昇し、枝葉のように広がる成長チャートの中から好きなものに成長(進化)させて いくことができます。成長すると、新たな特殊能力に加え、能力値や戦闘修正、エナジーなどへの修正値が増加します。
 本ルールブックでは6レベルまでの成長がサポートされています。


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■ その他:サンプルデータ、チャートなど

 オーソドックスなシナリオの作成や進行の方針(やや簡易ですが)、サンプルとしての架空都市の設定 (非常に残念ながら、食い倒れマップはありません)に加え、 デモンパラサイト世界における警察や政府を含んだ各組織の概要、および主要なNPCなどが記載されています。

 エネミーデータは多数取り揃えられており、GMをする分には非常に助かります。

 さらに、ランダム性が高く複数回遊べるサンプルシナリオ「恐竜展に潜む影」を掲載。コンベンション等でプレイされる 回数を考えると、付属シナリオの方向性としては申し分ないでしょう。また、シナリオフック4本が掲載されています。

 キャラクター作成チャートや戦闘チャートなど、チャートが完備されているのも嬉しい配慮です。


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■ 雑感&ぶっちゃけお勧めですか?

 現代日本を舞台にして異形のヒーロー達が繰り広げる戦いをメインとした、異色バトルアドベンチャー。 「変身ダークヒーローTRPG」と銘打ってありますが、衣服の破損や食事をネタにしたどことなくライトな 雰囲気も混ざっており、個人的には好みの芸風です。

 ルール面はわりと大雑把な感もありますが、発売中のリプレイを見る限り、衝動による振りなおし等を含め結構派手な ノリで楽しめ、それでいてバランス面は破綻していない印象を受けました。
 戦闘も車や石灯篭を力任せに投げつけたり、電柱を振り回したりといったダイナミックなアクションや、 落下や窒息、壁の破壊といったルールがサポートされており、シチュエーションを想定した遊びが期待できます。

 キャラクターメイキングが簡単で、システム的に軽いのもメリットといえるでしょう。
 特殊能力なども計8回コピーしてチャートと一緒にPLに配布すれば済むので、前準備も比較的お手軽です。

 特筆すべきは従来のTRPGと同じB5サイズでありながら\1,000という安価な価格設定。 内容はそこそこに充実しており、本作品は間違いなくお勧めの一品といえます。


 あえて欠点を挙げるとすれば、何かと比較対象になりそうなFEAR社の「ダブルクロス」同様にシナリオの幅が 若干狭いということと、索引が無いということ。 後者は索引を作成された御方が いらっしゃいますので、そちらで解決します。前者については、今後のサポートを期待しましょう。





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