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TRPGシステムコラム

アリアンロッド 私的考察

※このコラムは「強く作れるならとにかく強く作る」プレイヤー向け、もしくは対策の為の  ものです。「卓ごとにコンセンサスをとれば問題なし」と考えている方々には無用の長物、  プレイ環境によっては杞憂に終わるものである点をご了承願います。    ゲームバランス 〜最強は誰の手に?〜   TRPGに限らず、古今東西あらゆるゲームにおいて一番気になる要素・・・それは純粋な  「強さ」において他ならない。時としてそれはプレイヤーを楽しませ、話題に華を咲かせ  る要素となるだろう。だがその反面、それらはゲームを崩壊させ、廃れさせてしまう危険  性を持ちえている。   以下、私個人から見たこのゲームの「強さ」に関する問題点を考察してみた。     なお、この考察においてこのゲームは「パーティ制ゲーム」(TNDを筆頭とするFEAR社  から出ている多くのゲームのように単独導入→合流→クライマックスではなく、始めから  プレイヤーキャラクター全体が1つのチームとなり依頼を受ける)と考える事を前提とする。       問題提起1・強さ的なバランス   プレイヤーキャラクター、特に戦士+サムライを筆頭とする近接戦闘職はこのゲームに  おいて非常に派手なダメージを叩き出す事が出来る。組み合わせやクラスチェンジをうま  使って強く作った場合、それを行っていないキャラクターとの差はかなりなものになるだ  ろう。・・・だが、実際のところ強さ的バランスは幾つかの組み合わせにおいて、ある程  度似たようなダメージに収まってしまう。究極の強さを求めようとすればそのやり方は限  定されるが、幾つかのパターンが存在するわけだ。これはこれで「上の方でバランスが取  れている」と考えることが出来る。もっともレベルが上がるに従い、やはりバランスが破  綻していってしまうのだが・・・こういった部分に関しては、今後のサポートでバランス  が保たれていくことを期待するしかない。   ここで言う「強い作り方をしたキャラクター」を、便宜上「最強」と呼称する。     なお、私のTRPGの師匠の一人であるほゑほゑ氏が「最強」のパターンをまとめられてい  る。ご参考までに。    【ほゑほゑのゲームパラダイス】のアリアンロッドの部屋     問題提起2・「最強」ではない人々   この「上の方でバランスが取れている」ゲームを行ううえで必ず発生する弊害がある。  それは「強くないキャラクター」の存在だ。先の「幾つかの『最強』パターン」の存在は、  言い換えれば普通に作ったキャラクターの大半がこちらに分類されてしまうということに  他ならない。   「最強」が自身と同じ土俵にに居る場合、敵が「最強」にあわせて強ければ自分は役に  立たない。逆に、敵が自分で対処可能レベルの強さであれば「最強」に蹴散らされるだけ  の雑魚と化してしまうだろう。いずれにせよ、「普通」の側から見て相当なストレスにな  りかねないのだ。誰か一人が「最強」であれば、「最強」でない「普通」の側は割を食う  存在になってしまうのである。       問題提起3・スキル選択のジレンマ   パーティ制のゲームにおいては、各自メインクラスにある程度の役割を要求される。そし  てスキル制のこのゲームにおいて、それは「パーティのためになるスキルを取得する」と言  う行為に直結する。特に目立つのはウォーリアの「前線で耐えるための防御系スキル」「仲  間を守るスキル」、シーフの「対トラップ系スキル」などであろう。   「最強」を目指すならば、こんなスキルを取っている余裕は無い。メインクラスは元より、  サブクラスにある攻撃系スキルで派手なダメージを叩き出したくなる。実際のゲームにおい  てもパーティが受ける損害を考えれば、高い攻撃力で敵を粉砕し押し通したほうが効率的な  事もあるだろう。しかしマスター側のバランスの取り方次第では、ダンジョンはシーフがい  ることを前提とした難易度で構成されていたり、敵の攻撃などはウォーリアがダメージを自  分に集中させるのを念頭に置かれて組まれているシナリオもある。攻撃しか能が無いウォー  リア、戦闘しか能が無いシーフなどは、このような場合スキルの取り方に問題があると思わ  れることがあるだろう。アコライトなどもヒールやプロテクションを求められるケースが多  く、例えば「殴りアコです」と宣言し攻撃スキルにのみ傾向するようになっては、GMも困っ  てしまうかもしれない。  (メイジは・・・今は、置いておく。クラス的な意味合いから殲滅力を求められているので、  攻撃に偏って問題ないのだが・・・そもそもの自身の「攻撃力」が低い)     「最強」を目指していくこと自体、悪いことではない。(悪いとするなら「最強」を作成  可能としているゲームバランスが悪い。)・・・が、最短で究極を目指すのではなくパーテ  ィ全体の為になるようなスキルを併せて取得すべきではないだろうか。プレイヤーキャラク  ター全員が1ユニットとして行動するパーティ制ゲームにおいて、個人的欲求をただ満たす  だけと言うのは(自分以外にとっては)わりと困った状態なのである。       解決案1・皆で話し合う   結局のところこういった部分は、パーティ内で相談するものであるとは思う。強さ的に今  どの程度の差があるのか、パーティ制ゲームであれば事前に話し合う余地は十分にあるはず  だ。特に仲間内で複数回のキャンペーンを計画した場合などは、この先どのように成長させ  て行くか、どう言ったスキルを取得すべきかを事前に話しておく事が出来るし、無論そうし  た方がいいと思う。参加者の中にゲーム初心者が居る場合などは尚更である。 解決案2・ハウスルールの導入   バランスの取り方としての1つの答えが、ハウスルールの導入である。あなたの遊んでいる  環境で、ここはバランスが悪いんじゃないのか、こういった部分はこうすればもっと面白い、  と言った点があれば提案し、多数の同意の元にルールを勝手に改造する。これがハウスルー  ルだ。オリジナルのアイテムやスキル、クラスの追加などもこれに該当する。   メーカーからのゲームサポートが無かった時代、多くのTRPGゲーマー達はこうやって勝手  によく遊んでいたものである。最近はこれらを投稿すれば公式に反映されるチャンスがあり、  またコンベンションも盛んに行われているため、昔と事情は違うのではあるが。 解決案3・マスター側のバランスの取り方   また、マスターによるシナリオでのバランス調整も非常に重要な要素である。公式のシナ  リオに沿っているだけの場合は無関係な話だが、例えば敵の遠距離攻撃や包囲網による多面  攻撃等で戦士のカバーリングやプロボックスキルを重視させたり、ダンジョンのトラップ難  易度をシーフのスキル取得前提にしてみたりと言った具合である。魔法使いの特性を生かす  のに「接近戦足止め部隊と遠距離攻撃部隊(同じエンゲージ内に複数)を出してみる」と言  うのも面白いだろう。 バランスを取る意味   何のためにバランスを取るのか━━それは、長く同じゲームを遊びたいからに他ならない。  バランスの悪いゲームは、一部のプレイヤーにゲームとして飽きられてしまったり嫌われて  しまうケースがあるからだ。   FEAR社から出ている数多くのゲームの中、現在でほぼ唯一「ゲームバランス」を期待でき  るゲーム、アリアンロッド。勝手な思い込みと言われればそれまでだが、このゲームはこれ  から先、「ゲーム」として楽しめるバランスの取れた良いゲームになって行って欲しいと思  っている。     以上、今回は超私見ではあるが、アリアンロッドのバランスを私なりに考えてみた。機会が  あれば、お読みになっていただいた皆様にも是非一度このゲームのバランス面についてを考え  てみていただければ幸いである。 2004.06.08(Tue) 作成者:Tryarks(三元の間)

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